1999年9月19日(日) “最後の星”上田愛美の成績 |
デビュー曲『いつか』のオリコン初登場順位
チェキッ娘“最後の星”上田愛美のソロデビュー曲『いつか』が今月初めに発売され、オリコン順位が手元に入ってきた。初登場の順位は37位、2週目は速報で81位と聞いている。
気になる初動枚数
この辺の順位はチェキッ娘本体も経験しているとおり、最低8000枚の売り上げでも入れることがあれば、12000枚の売り上げがないと入れないこともある微妙なゾーンである。
37位だった『いつか』の初動推定売上枚数は9250枚と出た。これが1週間早ければ41位、その前の週なら35位、『海へ行こう』がチャートインした7月26日付けなら本体(30位)さえ上回る29位にチャートインできる数字である。オリコンの初登場順位は楽曲の売れ筋の指標にされることが多いようだが、私は推定売上枚数の方が重要だと考えている。
その意味で9250枚の売り上げはチェキッ娘からのソロデビューとしてはほぼ合格点を出せる売り上げだった思う。デビューイベントの行われた新星堂サンシャインシティアルパ店だけで実にその売り上げの7.7分の1が記録されているのだからこれもある意味すごいことである。
データ分析
もう少し詳しくデータを分析してみたいと思う。
このようなアイドルソングの場合、だいたい発売直後に売り上げが上がってしまう傾向がある。これは1週目(初動)で全売上枚数の80%近くが売れてしまういう感覚で見ている。このため、チェキッ娘関係の曲の2週目のランキングは80〜90位くらいになることが多い。だから今回は初動という点にのみ焦点を絞って分析したいと思う。
まず、ソロデビューということで比較するのに妥当なのは下川みくにであるが初登場30位で13550枚を記録している。広瀬香美プロデュースという話題性やテレビ・ラジオCM効果があっての枚数であるから、そのようなものが何もなかった上田愛美とはほぼ互角だったと見ても良いだろう。
次に卒業なしのデビューとしてはユニットになるがM@Mが良い比較対照になるだろう。M@Mは戦略的なミスもあって初登場48位で6800枚の記録だった。
また、最近のチェキッ娘本体の曲と比較すると、4thの『海へ行こう』が初登場30位で8560枚、企画もの的なイメージが強かったが5thの『ドタバタギャグの日曜日』が初登場39位で8410枚の売上を記録しており、今回の上田愛美『いつか』の初動9250枚の売上はそれらを上回っている。
この曲はデビュー曲であるゆえ、応援のための複数枚購入がやはりあったはずであるから単純に「本体よりも売れた」と判断してしまうのは危険であるが、とにかく私が予想していた枚数(8000枚程度)よりはるかに売れたので合格点を出せると思う。
プロジェクトからのソロデビューの仕組み
さて、話を変えてプロジェクトからのソロデビューということを少しお話ししておきたい。これには良い資料があって、これをお見せするだけですべてがおわかりいただけるので、『おニャン子白書』より現在の水口プロデューサーと同じ位置と思われる笠井ディレクターのコメントを紹介したい。
〜前略〜
それから、誰がソロデビューするかということが、全て僕の判断みたいに言われているけど、これはとんでもない話。
例えばレコードを出すという時には、まずレコード会社が出したいという前提があって、預かりたいというプロダクションがいて、そのためにレコード会社がどういう努力をしてくれるのかという打ち合わせに入る。そこで初めて「こういう話があるけど、やるか」と本人に聞くんだ。
「なぜ、私の番が来ない」「なぜ私とあの子が違うの」という子もいた。違うのは僕が決めていることじゃなくて、レコード会社やプロダクションの人が決めることだと。そういうことがみんな最初のうちはわからなくて、笠井がひとりで決めているみたいな話があったが、今ではそれも理解してくれていると思う。
〜後略〜
今週号のオリコンウィークThe Ichibanに上田愛美自身のコメントが載っているが、上記の仕組みが裏付けられるかのような内容となっている。
−ソロデビューの話は、最初はどういう形で聞かされたんですか。
愛美 ドラマのロケの後、(プロデューサーの)水口さんが「話がある」って。「私、何か悪いことしましたか?」と言ったんですね(笑)。そしたら、「ソロの話があるけど、やる気はあるか」と聞かれました。
〜中略〜
−19人の中で愛美ちゃんに話が来たのはやっぱり人気があるから?
愛美 それは別に・・・・・・。曲がもうあって、愛美の声に合ってるからって言われました。
〜後略〜
もちろん表面に出ていること以外にすでに所属していたプロダクション等との兼ね合いもあったと思われるが、とにかくデビューに成功したことは素直に喜んで良いと思う。
2曲目のジンクス
さて、こういう言葉があるかどうか知らないが、1曲目がある程度売れてしまうと2曲目がさほど売れなくなってしまうことがある。
あの下川みくにでさえ2ndシングルが初登場38位の8360枚であるし、上田愛美にとっても2ndシングルが発売される頃にはすでにチェキッ娘というバックグラウンドはいなくなっている。だからデビューに成功してもまだまだ安心などとうていできないのである。 ASAYANで有名なつんくプロデュースのモーニング娘。もデビュー曲が売れてさあ2曲目というときに新メンバー3人を追加しているし、とにかく「2曲目の怖さ」をよく知っている。 2ndシングルが森浩美&D・A・Iのコンビで作られるとすれば、完全にこれまでのチェキッ娘というバックグラウンドのすべてを受ける形になるが、これが吉と出るか凶と出るかは私にもわからない。ただ、今度は曲調を思いっきり変えてみるような試みをしていただきたい。守りに入るにはあまりに危険すぎるからである。
ファンレターの返事
そう言えば握手会とイベントの後に本人に送ったファンレターの返事が来た。
個人的に彼女はテレビ画面を見る限りでは、わがままでじゃじゃ馬のようなイメージを持っていたが、こうして短くてもきっちり返事を書いてくるところなどを見ると「本気でこの世界で頑張ろうという意気込み」と「(すでにたくさんいるであろう)ファンを大切にしようという気持ち」がうかがえ、精神的に成長している様子が感じられる。
チェキッ娘解散後もおそらくいちばん活躍するであろう上田愛美をずっと応援していきたいと思う。
ラストシングル『ありがとう』への期待
さて、いよいよチェキッ娘本体のラストシングル『ありがとう』が発売された。発売日のオリコンデイリーランキングで13位にチャートインするなど好調な滑り出しを見せたが、果たしてこの曲はどのような売れ方をするのだろうか?
2ndシングル『はじまり』はチェキッ娘の出した曲の中でも珍しい売れ方をした。最高位は40位だったが、80位前後で粘ったため、最終的に7週ランクイン(100位以内)で累計で32450枚の売り上げを記録した。この時期の記録がないので何とも言えないが、「曲が季節にマッチした」「CMを盛んに行った」「新曲が少ない時期だった」などの理由でこのような売れ方をしたものと思われる。
チェキッ娘の曲が初動で大きな枚数を動かすことは考えられないが、曲の内容が内容だけに『はじまり』的な売れ方が期待できるのではないだろうか?これ以上に何かが起こることはもうないのだから、今までチェキッ娘に関わったことのある方々全員にこの曲を買っていただきたいと思う。
「こんなに売れるんだったらもっと続ければ良かったのに」と多くの人が思う“伝説のチェキッ娘”にするために・・・
以上、今週のコラムでした。
1999年9月19日 BATCH