第2回 『期待と不安のメジャーデビュー』


最近の動向

 前回の投稿から3週間経ち、元チェキメンバーの活躍も目立つようになってきた。

 その活躍ぶりは前回にも書いた通りであるが、ここへきて音楽界への進出が少し顕著になってきたので、今回はこの部分に絞って書いて行きたいと思う。

ホリプロというバックグラウンドで飛ばし続けるMETAMO

 熊切あさ美、五十嵐恵、森知子によるMETAMOは、ホリプロというバックグラウンドでガンガンに飛ばしまくっている。1stアルバムにライブ、おまけに写真集まで出してしまったのだからもう止めようがない。さすが天下のホリプロといったところだろうか。

 しかしながら、グラビアアイドル系インディーズアーティストという微妙なポジションで、彼女たちはかなりの苦戦を強いられているような感じもする。

 そもそもCDはインディーズなのでオリコンのデータもすぐには出てこないし、写真集も順位は出ても部数までのデータが出ないというところで、実際判断基準になる要素がないという感じもある。

 ただ、元チェキファンがしっかりついていて、彼女たちも頑張っているようなので、とにかくホリプロのお荷物にだけはならないでほしいと思う。

ラジオ番組からのデビューとなったLast☆Angel

 町田恵他4人の計5人からなるLast☆Angelは、ニッポン放送『鶴光噂のゴールデンアワー』のまニャン子クラブ(招き猫がその名の由来)からデビューしたユニットである。

 楽曲のプロデュースはモーニング娘。の編曲でも有名なダンス☆マンによるもので、その辺からもマスコミは“第二のモーニング娘。”などと騒がれている。しかも、この曲は香港でも発売されることになっており、話題が話題を呼んでいることだけは間違いないようである。

 先日のデビューイベントには1000人ものファンが集まったそうで、これは単なる話題性だけではなくチェキッ娘というバックグラウンドがあってこその結果だったと思う。

 この曲をはじめて聴いたとき「さすがにモーニング娘。の曲に似てるなぁ」と正直思った。よく思うことなのだが「第二の○○」と言われたものにはろくな結果がなかったような気がする。慣用句でも「二番煎じ」という言葉があるように「二匹目のどじょう」はいないのである。

 しかし、この曲をよくよく聴き込んでみるとモーニング娘。の曲にはないまた別の魅力があるように思えてくる。香港でいつリリースされるのか、同時リリースだったのか、その辺の情報はつかんでいないのだが、この曲は今すぐではなくて数ヶ月くらいしたら急に注目され出してじわじわ上がってくるようなヒットをする予感がする。もっとも、それまでに人々に忘れ去られてしまっては意味がないのだが・・・

メジャーデビュー間近の女子高生バンドchee’s

 さて、上記の二つが「アイドル音楽」というジャンルだったとすれば、新井利佳、上田愛美、藤岡麻美による女子高生バンド“chee’s”は、歌だけでなく演奏まで自分たちで行う本格的な音楽を目指すという点で少し異質である。

 chee’sはDAIBAッテキ時代の月曜日のプロデューサーであったきくち伸氏と吉田建氏がプロデュースし、1999年に4月にインディーズデビューしている。当時は下川みくにと松本江里子もメンバーであった。下川みくには3月でチェキッ娘を卒業、DAIBAッテキの終了に伴ってDAIBAクシンの期間中は活動休止となっていた。

 今回はチェキッ娘の卒業があってめでたくchee’s復活、さらにメジャーデビューとなったわけだが、松本江里子がプロダクションサイドの都合で脱退となり、正式なギタリスト不在のままデビューを迎えることになった。ギタリストはオーディション等を行ったようであるが、結果は「該当者なし」になるなど見ているほうはその事情がよくつかめないのだが、とにかく2ndシングルまでにはギタリストを決定したいという意向のようである。

 私が個人的に見ていて、彼女たちを“バンド”というにはまだまだ違和感がある。そもそもバンドというのは「音楽をやりたい!」と真剣に考えている人たちがさまざまなきっかけで集まって自然発生的に出てくるもので、プロデューサーなる人が募集をかけてトップダウンで決まっていくようなものではないように思う。

 少なくとも彼女たちはアイドルを目指してチェキッ娘のオーディションを受けたはずであり、「バンドをやりたい」と思っている人たちとはそもそものスタート地点が違う。楽器の演奏に関するスキルについても同様で、お世辞で「上手くなった」と言われるようなレベルである。

 こんな不安だらけのメジャーデビューになるわけだが、私が最も心配しているのは「chee’sで彼女たちが何を目指すのか」というビジョンが見えないことである。確かにchee’sは大物プロデューサーの力でメジャーデビューすることができた。しかしそこにビジョンがなかったら、チェキッ娘と何の変わりもないのではないだろうか。そしてチェキッ娘と同じく売れなかったら、また“卒業”という形で終わらせてしまうようなことにならないだろうか。

 彼女たちにとってここを“ゴール”にするのか“ステップ”にするのか、新しいプロジェクトをスタートするにあたって、少なくとも彼女たちの意思だけはきちんと押さえておいていただきたいのである。


 元チェキメンバーの音楽界進出はまだまだ始まったばかりで、思考錯誤が続くと思うが、せっかく“音楽”をやるのであるから本質だけは見失わないでいただきたいと思う。今後の活躍に大いに期待している。


 以上、きまぐれコラム第2回でした。

2000年1月30日 BATCH



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