久松の集落は、通るたびどこか懐かしい感じがする。
日に焼けてほとんど字の読めない商店の看板、歩道にせり出して伸びている草木、 車のほとんど通らない広い道路に、くっきりと伸びる自分の影。
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このあたりは市街に近いこともあって、のんびりした雰囲気を好むナイチャー (内地からの移住者)が結構多いとのこと。
でも、彼らも新しく家を建てるというより、ほとんどは元々あった家を借りて住んでいるので、 町の景観はのどかな田舎のままだ。ちょっと脇道に入れば、赤瓦の家もまだまだ多い。
あまりの暑さに水が欲しくなってきたへむれん、道々自販機を覗き込みながら進む。 が、どういうわけかこの辺りから、ペットボトルを置いている自販機が全然ない。
この悩みはこの先ずっと続くことになるのだが・・・。
何しろ島の中心を外れたらコンビニなんてないので、水分補給は自販機が頼りだ。 買って一気に飲むというよりは道々少しずつ飲むことになるから、 ペットボトルじゃないと困るのだ。このときは仕方なく、小さいお茶を買って、 自転車を止めて飲んだ。
町並みの雰囲気を楽しみつつ、いつの間にか久松漁港へ出る。
まともに海の前に出ると、風が本当に強い。 写真を撮るために自転車を止めたが、帽子が飛ぶ、レンズキャップが飛ぶ、 果ては紙製のピンホールカメラが飛びそうになる。
あれやこれやと飛ばされたものを拾ったり、飛ばされないようにカバンにしまったり、 ほうほうの体で漁港を出る。
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