さて、いつの間にか旧下地町へと踏み入っていたへむれんであったが、 再び主要道を外れてしまった途端に、またもや自分の位置がわからなくなる。
あたりは一面の畑。さとうきびとアロエ、たまに牛舎。
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迷路を抜ける最も簡単な方法に「右手の法則」というのがある。
入り口から右手を壁につけて、その手を壁から離さずに壁沿いを進めば、 必ず出口にたどり着く、というやり方だ。
ただしこの方法は当然、すべての行き止まりをも通ることになる。
へむれんは平良から反時計回りに海沿いをたどってきているので、 脇道を右へ右へそれていけば、結果的には海に最も近い道を進んでいけるはずである。
しかしこういう農村地帯に入ると、当然行き止まりも増える。 農道を進んでいくと、農家の人が畑に行くための道なのでその先が消滅しているのだ。
少なくとも舗装されている道はどこかへつながっているので、 舗装が途切れた時にはほとんど勘で行き止まりとみなして進むようにしていた。 が、そうすると次第に海から遠ざかっていく。
地図上で見るとどうやら旧下地町の与那覇という区域にいるらしいのだが、 自分がどっちへ進んでいるのかわからない。
太陽がだいぶ傾いてきているので、ある程度方角はわかるのだが、 このあたり単純に西へ向かえば海、という感じではない。
島の南西部が、やや北へ張り出しているのだ。
途中ですれ違った農家のおばちゃんに聞いてみても、いまいちぴんと来ない。
日が傾いてきたせいで気持ちが焦って、とりあえずこの際北側まで行けなくてもいいや、 と腹を決めて西へ向かった。
南北に走る少し大きな道へ出て、道沿いに南へ。道の右側はずっと林だったのだが、 途中でふと、林が切れて小さな道があるのに気づく。
その向こうが開けている雰囲気があったので、もしやと思い自転車を止めて、 徒歩で道に入る。
案の定、すぐそこが海だった。
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宮古の海沿いにはこういう地形がよくある。砂浜に沿ってやや高く防風林があり、 その内側に道がある。道側にいると、すぐそばに海があるのに気づかない。
海で視界が開けたことで、自分の位置も大体わかった。すぐ左手に来間大橋が見えたのだ。 前浜が近い。
この海を見たとき「やった!隠れビーチ発見!!」と思ったのだが、 世の中そんなに甘くない。へむれんが引き返すのと入れ違いに「わ」ナンバーの車が来て、 家族連れがわいわい海へ行きましたさ・・・。
ガイドブックにこそ載っていないが、口コミで知れ渡っているビーチは結構多い。 そういう意味では、本当の隠れビーチはもう宮古にはないのかもしれない・・・。
ちなみにこの時へむれんが発見したビーチのすぐそばに観光用の遊歩道が走っており、 実は隠れビーチでもなんでもなかったわけであるが・・・(汗)。
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