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    [1924] シャーリィについての考察-

    記事引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ 魅神 -(2020/01/11(Sat) 21:21:51)
    □U R L/

      名前:シャーリィ・ライラ(キャラクター名:シャーリィ)
      種族:デューマン
      性別:女
      年齢:12
      戦闘クラス:サモナー×ファントム

      フレンドパートナー時の登録
      キャラクター性:天真爛漫
      特性:さびしがり屋
      特殊補正:徹底防御

      「わたしは楽しいことが好き。
       どうせ見る夢なら、楽しくて面白いのがいいなの。
       そのためにも……ねぇ、貴方も、一緒に遊ぼ?」

           *****

       その日、その時。
       わたしは死にかけていた。
       あのたくさんの黒いのに壊された街の中で。

       そんなわたしを助けたのは2つの声。

      「告⇒私は彼女を助けます。そうあれば、私の、そして彼の死は、無意味ではなかったと」
      「……わかったわ。私はその言葉を叶えるわ」

       消えゆく。薄れる。意識の中で。
       わたしは確かにそんな声を聴いた。

      「私は、貴女を彼女へ縁で結ぶ。私に出来ることは、そこまでで、それだけ」
      「謝礼⇒十分です。私には過ぎた最期です」

       それが、覚えているわたしの微かな記憶。

       ――もしかしたら、"夢"の出来事だったのかもしれないけれども。
       ――でも、もしそうだとしても、"悪い夢"じゃない……よね?

       次の目が覚めた時。
       わたしは壊れた街から出ていく小さな船の中にいた。
      「よう。チビスケ、目ぇ覚めたか」
       隣に居たのは、凄く目つきが悪くて、けど、凄く寂しそうな、白い髪のお兄さん。
      「……貴方が助けてくれたなの?」
       わたしの言葉を聞いたそのお兄さんは、面倒そうに頭を掻いた。
      「成り行きでな。まぁ、気まぐれだ」

       ――そして、わたしはまだ知らなかった。
       ――このお兄さんが、見続けている"悪い夢"を。
       ――そして、わたしの声が、このヒトにずっとずっと長く、届かないことも。

           *****

      長い緑の髪が特徴的な少女。
      どこか能天気な間延びした口調で喋る。

      約5年前、ダーカーに襲われた街にて救助された。
      その時より以前の記憶が凄く曖昧になっている。
      記録では12歳。また、その時に家族を全て失ったことになっている。
      本人はそのあたりを全く覚えていないのだが……

      また、その時を境にフォトン適性に目覚めた、らしい。
      これも本人は、それまでをあやふやにしか覚えていないため、急に目覚めたという感覚はないようだが。

      そして、その時から彼女にはもうひとつ、大きな「異常」があった。
      それは、彼女の中に、「もうひとつの人格」が居座っていること。
      彼女が「リーシャ」と名付けたその人格は、シャーリィ自身と共生し、そして、協力的でもあった。
      まるで、「シャーリィを守ることが使命である」かのように。
      とはいえ、リーシャ自身も記憶はないらしく、自身を「そういう存在だ」としか認識していないようだが。

      それと……彼女自身が知らない「異常」がもうひとつ。
      彼女は生まれつき、ある"特異な夢"を見る。
      その時を境に、それは更に"特質な夢"となった。

      眠る彼女は、"夢"を渡る。
      眠る彼女は、"夢"で遊ぶ。

      ……それは、彼女自身知らない、とある超常の少女との絆によるもの。

      そして……彼女は"悪い夢"を嫌う。
      そして……彼女は"悪い夢"を憂う。

      だから今日も彼女は手を差し出す。
      現実でも。夢の中でも。それを楽しくするために。
      「一緒に遊ぼ?」と。

           *****

      「:確認⇒それで、アークスになった……と」
       わたし自身の口から出るリーシャの声に、わたしは頷く。
       最初はお互い慣れなかったけど、今じゃリーシャとも綺麗に会話をできる。
      「うん! 他に行くアテも無かったし、なの」
      「:まぁ、フォトン適正にも目覚めたとのことなので、悪くはないと思いますが……疑惑⇒本音は?」
      「色んな見たことない星いけるの楽しそう!」
      「:ま、ですよねー」
       リーシャの呆れたような声。
       相変わらず失礼なの。
       リーシャはもっとわたしに優しくしてくれてもいいと思う。
       ……うん、まぁ、いつも色々助けられてはいるけど。
      「:忠告⇒シャーリィの基礎能力では、すぐに野垂れ死ぬのがオチです」
      「ひどいなの!?」
      「:私が身体サポートをするユニットを構築するので、常時装備しておくこと。いいですね?」
      「うー、わかったなの」
       そんなこんな言いながら。
       わたしはゲートエリアへ向かう。
       今日は初任務。
       ワクワクドキドキだ。
      「:確認⇒ところでクラスはどうしたのですか?」
      「クラス? サモナーだよ!」
      「:……凄く納得しました。色んな意味で」
      「どういうことなの!?」
       クエストカウンターでお姉さんの話を聞いて。
       キャンプシップとかいうのに向かう道に光が灯った。

       ――さぁ、冒険のはじまりなの!

      「……うん。リーシャ! 行こうなの!」
      「:勿論。付き合いますよ」

       わたしのとって、この世界は最高の遊び場!
       さぁ、一緒に遊ぼ?




    [1925] ウィンターについての考察-

    記事引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ 魅神 -(2020/01/11(Sat) 21:22:43)
    □U R L/

      名前:ウィンター・ガーデン(キャラクター名:ウィンター)
      種族:キャスト(シップ管制統括システム)
      性別:女
      年齢:52
      戦闘クラス:エトワール

      フレンドパートナー時の登録
      キャラクター性:天然
      特性:曇り好き
      特殊補正:コンディションマスター

      「私は皆さまと共に在り、皆さまを守り、皆さまを支えるのが使命です。
       この身は貴方の剣となり、盾となりましょう。
       だからどうか……貴方は、私を傍に置いてくれますか?」

           *****

       周囲を見渡す。
       相変わらずの、廃墟同然の街。
       崩れた建物や、あちこちにみられる爪痕は、戦いの跡。
       そこに人は誰もいない。
       全ての人が、ここを去った。

       ――ここは、私そのもの。

      「さて、今日もお掃除を始めましょう」
       言いながら、私は掃除道具を手に、唄を口ずさみながら、街を歩く。
       この街は、そのほとんどが40年近くも前の姿のまま。時間を止めたように。
       街のシステムはほとんど動いていない。
       それもそのはず、このシップはほとんどすべての機能を眠らせている。
       そうしなければ、航行もできないほどに、損耗している。
       ただ、延々と航行しながら、私はこの街を直す。
       少しずつだけど。それでも確かに。
      「さぁ、明日こそ誰かお客様を迎えられますように」
       こんな状態ではあるけれども。
       最高のおもてなしが出来るように、私はこの街を維持する。

       ――いつか、貴方がここを訪れる時のために。

       ――いつか、貴方がここに帰ってきた時のために。

       私は……この街を預かるメイドなのだから。

           *****

      冬の船と呼ばれる、他に誰もいない居住シップを守るメイド姿の真っ白いキャスト。
      その正体は、冬の船……正式名称ウィンター・ガーデンの管制統括システムである。
      仮初の身体を構築し、そこへシステムの根幹を宿すことで、自立稼働をしている。

      その冬の船は、現在彼女自身の所有物として登録されている。
      何故なら、彼女以外に住人がいないから。

      船は、今から約40年程度前に、ダーカーにより襲撃され、その機能の大半を失った。
      同型の姉妹船は沈黙し、彼女自身の船の住民も全ての生存者が退避した。
      船の防衛機構にて最後の足止めとし……相打ちののち、残されたのは解けることのない待機命令。

      姉妹達がどうなったのか、住人達がどうなったのか。
      その結末すら知らず、彼女は、"ただそこに在る"だけの存在へと成り下がった。

      それでも彼女は待った。
      船のほぼすべてをスリープさせ、最低限の航行のみを行いながら。
      40年を。ただ独り。

      契機は、マザーシップにおける、アークスとルーサーの激突。
      その時、アークスは従来のマザーシップを失い、その管理権限の全てがシャオの移る。
      故にオラクルのシステムは更新され……

      ――そして、故に、彼女の待機命令が白紙となる。

      "時が来た"のだと彼女は想った。
      しかし、予想していた迎えるべき者は誰もおらず、もてなすべき客人も誰も居なかった。

      ――スリープが解け、漸く見渡すことのできた世界には……
      ――しかし、彼女の知るモノは、誰も居なかった。
      ――ヒトも。船も。

      彼女は理解した。
      40年前のあの時。
      力が及ばなかったゆえに。

      ――自分は結局、置いていかれたままだったのだ、と――

           *****

      「準備よしっと」
       そう独り言を言いながら、私はキャンプシップに乗り込む。
       余りに長く独りだったせいか、どうにも独り言が多くなった気がする。
       さて、それはともかく。
       これより向かうはアークスシップの一隻。
       昔スプリング姉さんに教えてもらった方法で自立稼働する私は、こうして自身の船の外へも出られる。
       もっとも、その間は自身の船が全てオートモードになるから、余り褒められたことでもないのだけれども。
       けれども、私にはそうする理由がある。

       ――私は連れていってもらえなかった。
       ――でも、それなら、私が追いつけばいい。

       幸い、私はこの身をフォトンで稼働させており、フォトンの装備を身にまとう。
       ならばこれは、フォトンを操るアークスの方々と似た権能。
       そう、私はアークスに混ざって行動することとした。
       彼らは星々を駆け巡る。
       ならば、そんな彼らと一緒に居れば、いつか私の知る誰かを見つけられるかもしれない。
       もちろん、可能性が低いことはわかってる。
       それでも私は……

       ――それでも私は、きっと、探さなければならない。
       ――私自身の、このココロが壊れてしまわないために。

      「探索も、戦闘も、慣れないことだらけですが……頑張りますか」
       身体はツクリモノであろうとも……きっと、このココロは私のもの。
      「願わくば、私のココロが、貴方へと続く道と成りますように」
       このココロに燻る想いと共に……きっと、"果て"などない私の旅は始まる。

       ――そして、その時の私はまだ知らない。
       ――この物語が、一隻の船を見つけた時、大きく動き出すことを。

      『……お友達にならない?』

       ――その言葉を、私はまだ知らない。




    [1926] ナナシについての考察-

    記事引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ 魅神 -(2020/01/12(Sun) 20:37:58)
    □U R L/

      名前:卯月紅蓮(キャラクター名:ナナシ)
      種族:キャスト
      性別:男
      年齢:享年24(35)
      戦闘クラス:ブレイバー×レンジャー

      フレンドパートナー時の登録
      キャラクター性:勇者気質
      特性:逆境好き
      特殊補正:激昂

      「例えば譲れない信念。例えば浪漫愛する心。例えば身勝手な渇望すらも。
       全部全部、ヒトが自身を"ヒトたらしめん"ことに大事なことじゃあないか。
       じゃぁ、アンタが掲げる正義は何だ? 教えちゃあくれないか?」

           *****

       ああ、負けた。
       ああ、くそ。俺は負けたんだ。

       時間を稼げた、とか。
       逃がすことができたヤツも居たとか。
       んなこたあ関係ない。
       俺の背後には、まだ守るべきヤツがいて。
       ここに戦えるヤツぁもう俺しかいなくて。

       そして、俺はこうして地に倒れて、命散る寸前ときたもんだ。

       これが「敗北」じゃなく、なんという?

       こうして俺が無様に野垂れ死んでる時にも、ダーカーどもは……街を、人を、蹂躙しているだろう。
       これほど最悪な最期が、あっていいだろうか?

      「力が欲しいですか?」

       唐突な声。
       見上げると、そこにいたのは、全身紫色の奇妙な男。

      「失礼。"このまま終わりたくない"といった顔をしていたもので」

       男は、口元を吊り上げながら、しかし笑っていない濁り切った目でそう言った。

      「私の「実験」に付き合っていただければ、「次」を迎えられることを約束はしますが?」

       あぁ、くそ。
       あぁ、ちくしょう。
       理解した。しちまった。

       ――こいつは、悪魔だ。
       ――そして、俺はその取引に乗るしかねぇ。

           *****

      傾奇者の装束を纏い、頭には笠を乗せ、いつも煙管を咥えている男。

      アークスシップダーカー襲来の際、ある区画の最終防衛線を守るために残った最後のひとり。
      その戦いで、彼は、若干の時間と引き換えに、その命を散らした……はずだった。

      そんな彼を拾ったのは、ひとりの狂科学者。
      彼は、死と引き換えに、その狂科学者の「試作品」として作り替えられた。
      無念のまま死ぬよりマシだと、彼はそれを受け入れた。

      アークスデータ上では、彼は既に死人だった。
      故に彼は「名無し」を名乗る。

      次こそは勝つために。
      次こそは守るために。
      彼は戦場を渡り歩く。

      それと……もうひとつ。

      彼は、その身体のほぼすべてを機械のパーツへと置き換えられた。
      故に、彼は「ヒトだった頃」の感覚を喪失した。

      それは、徐々に、徐々に、彼の心を蝕む。

      ――俺が好きなモノは、何だったか?
      ――俺が信じるモノは、何だったか?

      少しずつ、確実に、ヒトとしての感性を失いながら……
      それでも、ヒトとして在り続けるために。
      魂在るモノへと、問いかける。

      ――その掲げる正義を。
      ――その愛する浪漫を。
      ――その渇望する望を。

      ――俺にも教えちゃくれねえか?

      そう、問い続ける。

           *****

      「貴方は……楽しそうにしている言動とは裏腹に、随分つまらなさそうにしていますね」
       同行者の少女は、俺に向かってそんなことを言った。
       驚いた、とでもいえばいいのだろうか? 俺の感情がその言葉に値するかは最早わかんねーが。
       いやはや、よく見ていやがる。
      「気のせい、っつーことにしといてくれねえか?」
      「……そうですか」
       少女は引き下がりながらも……

      「それなら、私が食事をしているところを見ながら、そんな顔をしないほうがいいですよ?」

       思わず、自分の顔を掴んだ。

       あぁ、そうさ。
       俺のこの身体はもう、飯を食うことすらできねぇ。
       自分が、何を嗜好としていたのか、それすら思い出せねぇ。

      「俺、そんな顔してたかねぇ?」
       務めて軽い調子で俺は問う。
      「……酷い顔でしたよ」
       少女は重く答えた。

       あぁ、そうかい。

       なぁ、ところでこれは、俺は……
       この飯を楽しむことすら喪失したことを嘆けばいいのか?
       それとも、それを嘆く心がまだあることに安堵すればいいのか?

       目の前の少女を見る。
       まだ、幼さすら顔に残す少女を。

       なぁ、例えばこの少女に、俺は言っちまっていいのだろうか?
       俺に残されてる、「確かな俺の願い」を、言っちまっていいんだろうか?

      ――"いつか俺がヒトでなくなった時、俺を終わらせてくれ"、なんて。

       なぁ、誰か。
       俺の願いを聞いてくれよ。




    [1927] エンデについての考察-

    記事引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ 魅神 -(2020/03/23(Mon) 23:53:26)
    □U R L/

      名前:アルカディア・エンデ(キャラクター名:エンデ)
      種族:ニューマン(ハーフ)
      性別:男(精神的には中性)
      年齢:28
      戦闘クラス:ヒーロー

      フレンドパートナー時の登録
      キャラクター性:先輩肌
      特性:小型狙い
      特殊補正:復活支援

      「物語は語るわ。嘘も、真実も……多くの人へ知らしめる。
       その中では人は……英雄に、ヒロインに、そして或いは悪役にだって成れるわ。
       だから、さぁ、貴方が演じるその役割……アタシが語ってあげるわ」

           *****

       僕は中途半端だ。

       ニューマンとヒューマンのハーフとして生まれた。
       身体的には男だけれど、精神的には男でも女でもなく。
       フォトン適正があるけれども、自由自在に操れるほどの才能はない。
       頭は良くもなければ悪くもない。運動も苦手じゃないけど得意じゃない。

       そんな、「何者でもない者」が……僕。

       そんな僕は、そんな僕だから、何にも属せなかった。
       誰とも仲よくなれなかった。

       そんな僕が好んだモノは……創作物の世界。

       好きな小説があった。
       好きな漫画があった。
       好きな映画があった。
       好きなゲームがあった。

       その中では僕は……
       最強の英雄になれた。
       悲劇のヒロインになれた。
       頭脳明晰な名探偵になれた。
       スタジアムの王者になれた。
       冷酷な殺人鬼になれた。
       残虐な暴君になれた。

       ――だから、僕は、物語が好きだ。

       ある日の事。
       僕の住む居住シップがダーカーに襲われた。
       小規模な襲撃で、特に大きな損害もなく、大してニュースにもならなかったソレ。

       その中で……僕は出会ったんだ。

      「よう、大丈夫か?」
      「間に合ったようで何よりだわ」

       颯爽と現れ、逃げ遅れそうになった僕を助けたその集団。
       それは、アークスと呼ばれる集団。

       ――物語のヒーローは……現実世界に存在した。

           *****

      パーマのかかったロングヘアに、まるで閉じているかのような細い目が特徴の男。
      背の高い帽子と、丸いレンズのサングラスがトレードマーク。
      中性的なファッションを好み、女性的な口調を好んで使う。

      アークスではあるが、その活動には余り積極的ではない。
      どちらかといえば、他のアークスに同行するような行動をすることが多い。

      その実態は、新進気鋭のマルチクリエイター。
      特に小説や漫画といった物語の創作を行っている。

      ニューマンではありながら、ヒューマンが半分混じっており……
      男として生まれたが、精神的にはむしろ女性寄り。
      そんな、周囲からは浮く「異質」でありながら、誇れるような特徴もない。
      そんな年少期の彼は、周りに馴染めず孤立していた。
      そして、そんな彼は、創作物の世界の中へと閉じこもった。

      そして……ある時、偶然でありながら劇的に。
      彼は……「ヒーロー」と出会った。

      彼は知った。

      ――……自分は何者でもない。
      ――……自分は何者にもなれない。

      ――……けれども……

      ――……「物語のヒーロー」は、ちゃんと居るじゃないか。

      漸く彼は、「自分以外」に目を向けて。
      そして「世界という物語」を好きになり。

      それを自分なりに記し、残すため……
      剣と、ペンを、手に取った。

           *****

       華麗なる衣装に身を包み、華麗なる武器をこの手に持って。
       これはアタシなりの「物語への敬意」。
       関わる物語へ、脇役とはいえ登場するには、これくらいの「演技」は必要じゃない。

       もう言葉だって偽らない。
       好みだってもう隠さない。
       アタシも、「物語の中」に居るんだから。
       この程度の役割は、いただくわ。

       アタシは物語が好き。
       そこには最強の英雄が居る。
       そこには悲劇のヒロインが居る。
       そこには頭脳明晰な名探偵が居る。
       そこにはスタジアムの王者が居る。
       そこには冷酷な殺人鬼が居る。
       そこには残虐な暴君が居る。
       みんな、みんな、愛してる。

       だから、アタシは、見る側から、作る側へ。

       もちろん、現実そのままで、っていうわけにはいかないけれども。
       こんなヒーローがいたって、少し脚色して描くのは悪くないじゃない。

       ――……さて……同行する"貴方"へ目を向ける。

       貴方はどんなヒーローかしら?
       貴方はどんな物語を描くかしら?

       そんな貴方をモデルに……アタシは更なる物語を描いてみせるわ。

       だからお願い。

       ――……存分に、魅せてちょうだい?




    [1928] レイスについての考察-

    記事引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ 魅神 -(2020/03/24(Tue) 00:41:42)
    □U R L/

      名前:なし(キャラクター名:レイス)
      種族:デューマン
      性別:女
      年齢:不明
      戦闘クラス:ファイター×ハンター

      フレンドパートナー時の登録
      キャラクター性:命知らず
      特性:ツンデレ
      特殊補正:臨戦態勢

      「無駄だ。アンタが何を言おうと俺はこの任務を遂行する。
       ああ、そうさ。その結果、俺が命を落とすことになろうとも、だ。
       それで……俺の価値が証明されれば……十分すぎる戦果だろう?」

           *****

      「何故だ……」
       俺の目の前で崩れ落ちる彼女。
       "外の世界"で数度か出会っただけの仲。
       ましてや、さっきまでは俺が殺そうとしていた相手。
      「どうしてだろ……? 死んでほしく、なかったから……かな?」
      「俺は……お前を、殺そうとしたんだぞ……?」
      「でも、殺されなかった、じゃない」
       そう、俺は、彼女を殺せなかった。
       確実に殺せる状況だった。
       でも、どうしても、殺せなかった。
       俺は、犯罪組織の殺し屋で。
       彼女は、それに命を狙われたアークスで。
       それだけの関係のはずなのに。
       そして、任務を果たせず、囚われる寸前の俺を、組織は殺そうとして。

       ――そんな俺を庇って、彼女は倒れた。

      「それで、お前が倒れて、どうすんだよ……!」
      「ホントに、ね……」
       彼女を襲ったのは、組織の使う即効性の毒だ。
       今この場で解除する術はなく、既に運命は決している。

       ――結果。俺は生き残って。
       ――結果。彼女は死ぬ。

      「あ、そうか……」
       彼女は微笑んで、最期に告げる。
      「"何故か"って……うん、わかった」

      「友達だから、だよ。きっと」

       ――それが、「彼女の最期の言葉」だった。

           *****

      厚いフードと外套で身を覆った小柄な女。
      片目を眼帯で隠している。

      出自は不明。
      物心ついたころには、すでにある犯罪組織に「飼われて」いた。
      そんな彼女に組織が与えた役目は、「使い捨ての殺し屋」。

      ただ、任務を果たすことで有為であることを示し、捨てられずに済ます。
      それが、彼女の「当たり前の世界」だった。

      しかし、例えば任務に出た最中。所用で街へ出た時。
      そんな時に……彼女はひとりのアークスと何度か出会った。
      それは、完全に偶然な出来事ながら……
      そのアークスの人当たりの良さ故に、顔を合わせれば声をかける程度の仲にはなった。
      それは、彼女にとって……完全に「未知」の関係性だった。

      ……そして、契機はひとつの任務。

      組織にとって都合の悪い情報を握ったアークスの始末。
      そして、そのアークスというのが……その「顔見知り」のアークスだった。

      殺そうとした。
      が……どうしても、彼女は、殺せなかった。

      そして、任務を失敗し、アークス達に囚われる寸前……
      組織は、彼女を「捨てる」。
      その為の必殺の一撃を……

      ――その身で庇ったのは……「友達」、だった。

      生き延びた彼女は……その身を翻し、アークスへと属した。

      そして、彼女はアークスの中で、ただただ戦果を上げる。
      「自分を助けた彼女」が、「庇った意味」の在処を証明するために。

      ――戦うということ、それ以外にそのやり方を知らないから。

           *****

       目の前には、モノアイセンサーで目を隠した男。
       そいつは「アークス特別管理官」などと名乗った。
      「本来ならば、キミは罪人として扱うべきなのだがな」
      「だろうな……で、結局俺をどうするんだ?」
       俺はその言葉に頷きつつ……訊き返す。
      「なに、取引をしたいだけだ」
       その言葉で、俺は凡その意図を察した。
       つまりは、一種の司法取引のようなもの。
       そして、俺が差し出せるものといえば……
      「……要求は何だ?」
       凡そわかっていながら、俺は訊く。
       これは、俺にとっても、最も都合がよい展開だ。
      「話が早いな」
       男は少しだけ口元を吊り上げた。
      「キミは例の組織に強制されていただけだと理解した。故に、その罪は問わないことを提案する」

       ――さて、俺は、俺の価値をできるだけ高く押し売らなければならない。

      「代わり、その力をアークスの……更に言えば私の元で振るいたまえ」
       思った通りの要求に、俺は笑いそうになるのを堪える。
      「要は、所属が変わるだけで、今まで通りのことをしろということだな」
      「任務内容は、純粋な"殺し"ではなくなるがね」

       ――ここから、俺は、俺の価値を証明し続けなければならない。

       少し、敢えて沈黙を置いてから……俺は頷く。
      「いいだろう。乗った」
      「取引成立だな」
       男が手を差し出した。
       それが、「握手」を求めているのだと理解するのに、少し時間がかかった。
       漸く俺が手を握り返すと、男がふと口にする。
      「そういえば、名を聞いていなかったな」
       名前……
       俺には名前がない。
       これまでは、その場その場で偽名を名乗ってきた。
       "無い"と答えようとしたところで……ふと。

       ――思い浮かんだのは、「彼女の名」。

       レインリリー・ステイシア。
       その名を、少しだけ借りる。

      「……レイスだ」
       咄嗟に出たのは、そんな名だった。

       レインの名をほんの少しだけ借りつつ。
       そして、死に損なった亡霊である自分に、お似合いな名。

       ――俺は、この名で証明する。
       ――彼女がその命で生かした俺に、価値が確かにあるということを。

       ――彼女の死に、意味はあったということを。


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