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    [1940] アガサについての考察-

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    □投稿者/ 魅神 -(2021/04/15(Thu) 00:10:24)
    □U R L/

      名前:アガサ・ロンド(キャラクター名:アガサ)
      種族:ヒューマン
      性別:女
      年齢:19
      戦闘クラス:ラスター

      フレンドパートナー時の登録
      キャラクター性:理知的
      特性:小型狙い
      特殊補正:コンディションマスター

      「悪いけど、この世界の全てに私は興味を示せない。
       此処に、私の追う背は無く、私に並ぶ肩は無く、私の背を押す掌は無い。
       ならばこそ……今は、此処に居るキミの意志に、唯、追従だけをしよう」

           *****

       ――「ごめん、さよなら」――

       最後に私に送られてきたメッセージは、それだけだった。
       そして姉さんは、私を遺して、「闇」と共に世界から消えた。
       その消えた背を追うように、唯、戦ってきた。

       色んな人から、姉さんの代わりと成ることを「期待」された。
       けれど、私は結局…………姉さんのようにはなれなかった。

       ――だから……世界は、滅びた――

       ここは、この「世界の果て」である"狭間"に在る惑星リリス。
       他の世界へ繋がる「扉」が在る場所。
       僅かな生存者のそのほとんどは、すでにその「扉」より他の世界へ落ちのびた。
       あとは、この「扉」が「敵」に奪われないための戦い。
       そして、この世界と、「添い遂げる」だけの戦い。

       ――だったのだけれども――

      「貴女はもう、十分に戦いました。十分に、一人で背負い過ぎました」
       その赤髪のキャストの女性は謝るように告げて。
      「この世界は、お前に頼りすぎた。最後まで頼りっきりは、ダセぇからな」
       その銀髪のデューマンの青年は強がるように不敵に笑って。


      「貴女はもっと生きて」
      「お前はもう休め」


       彼らは、「扉」の向こうへと、私の身体を押し出した。


       ……ずっと、戦う理由もなく戦っていた。

       ……最後の最後で、友と共に戦えるならば良いかとも思えた。

       …………けれど結局…………私は、私の意志での戦い所を失った。

           *****

      橙色の髪の、どこか表情の乏しい女性。
      ほとんどのことに興味を示すことなく、どこか浮いた人物である。

      その正体は、並行世界のオラクルよりやってきた、別世界のアークスである。
      その世界での守護輝士であった人物の妹でもある。

      彼女の世界では、守護輝士は、最後の戦いで原初の闇と共に消失した。
      故に、彼女の世界では、アークスは最大の戦力を損失した。

      ――アークスは、それまでの戦いを守護輝士に頼り切っていた。

      ――永くルーサーによる実質的な独裁下にあったアークスは、組織としては歪で未熟だ。

      その後に現れた「新たな世界の危機」で、アークスは敗北した。

      守護輝士としての役割を、彼女を「代行」として立てて押し付けながら。
      しかし、守護輝士不在で戦の指針すらまとまらないままに。

      戦う意志があるものから真っ先に消えていき。
      統制する者の声をまともに聞く者はいなくなり。
      全ての役目を、ただ「代行」に押し付けて。

      ――喚きながら、敗北し、崩壊した。

      そして、それでもまだ僅かに残った、「生きる意志ある者」達は決断する。

      ――この世界を、棄てることを。

      幸いに、世界の外へと続く"亡霊惑星への鍵"は手中にあった。
      微かに残された力を振り絞り、血路と活路を切り開いた。

      その最後の戦いで。
      その「世界の殿」を務める戦いで。

      ――最後の最後に残っていた「意志ある者」達に。
      ――よりにもよってその時に、背負わされていた"モノ"を、奪われた。

      ――「お前は生きろ」。
      ――そう言われながら。


      ――残酷すぎる、言葉だった。


           *****

       結局、私はこちらの世界でもアークスになっていた。
       肩書はない。持つつもりもない。

       この世界は……正直に言ってしまえば、私には関係ない。
       だから、興味もない。

       けど、全てを……本当に文字通り全てを失った私は、目的もなく、否、目的がない故に戦う。
       ああ……これでは、私は結局「代行」のまま変わらないのではないか。

      「お前さん、どうした…………?」
       呆然と星々を眺める私に、任務の同行者である銀髪の青年が声をかけてきた。
      「いや……すまん。ぼうっとしていたようだ。なんでもない」
      「そうかい? ならいいが……」
       彼は……そう、前の世界で仲間だった「彼」の、こちらの世界での平行存在だ。
       彼は、私を知らなかった。
       この世界では、私も姉さんも、居ないらしい。
       守護輝士も別のどこかの誰かで。
       彼、或いは彼女は、「闇」から帰還してきたらしい。
       前の世界と同じ歪を抱えてはいるが、今のところ全てうまくいっている世界。
       この世界ならば、あの【真淵なる白】も、容易く退けるだろうか?
       私も、姉さんも、存在しないで回るこの世界は、全てうまくいってしまうのだろうか?

      「それにしてもお前さん」
       青年の声が続く。

      「"心、此処に在らず"、って感じだぜ? それもずっとだ」

       ――この青年は、普段だるそうにしているくせに、こういうことには偶に鋭い。

       ――ああ、そうだろうとも。
       ――なにせ、私の心は"此処には無い"のだから。

      「……放っておいてくれ」
       彼を、突き放す。
       だって……彼は、「彼」ではないのだから。

       再び、星々を見上げる。

       なぁ……この世界で、この空の中で、「果て」を見つければ。

       あの世界の「果て」に消えた彼らに……
       あの世界の「闇」と共に消えた姉さんに……


       ――…………また、逢えるだろうか?



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